かすみ革工房のブログ

趣味の革工芸にまつわる諸々を綴っています。

ノートブックカバーの作り方_プロジェクト#2

B6サイズのノートカバーの作り方です。

寸法はB6サイズで記載していますが、どんなサイズでも作り方は同じなので、かなり使い回しのつくレシピだと思っています。(完成品サンプル)

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作り方の流れは以下の通りです。

1)型作り

2)革の裁断

3)ポケット作り

4)本体作り

5)パーツの組み立て

6)仕上げ

 

1)型作り

最初に作りたい物に合わせて型を作ります。固めの白い紙(ケント紙など)を使うと繰り返し使えて便利です。

サイズ*:

本体:11"x7.5" (28 cm x 19 cm)

ポケット:3"x7.5" (7.6 cm x 19 cm)

 * 1インチは約2.54cmです

 

2)革の裁断

次に革を選んで型に合わせて切ります。

革種類:スムースカーフ

革の切り方:

本体:外側は型のサイズ丁度に、内側は型よりも5-7mm大きく。

ポケット:外側、内側共に型よりも5-7mm大きく。

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革を手で持って軽く折り曲げた時に無理なく折り曲がる方向がありますので、その折り曲がりが本体の背になるような方向に革を切ると綺麗に仕上がります。

 

革を切ったら革を漉(す)きます。

革漉き機で全ての革を均等に薄く漉きます。革漉き機を持っていない場合は、革屋さんでお願いして漉いてもらうか、初めから薄く漉いた革を購入するといいですね。

9/3/2018 追記: ポケットは本体よりも薄く漉いた方がスッキリと仕上がります。)

本体とポケットをはり合わせる部分(ポケットの3辺と本体の周囲は、革が分厚くなるので、革漉き機で更に薄く厚みを減らしておきます。ただし、裏側のみ)

9/3/2018 追記: 本体の周囲はポケットを貼り合わせることになるので、薄めに漉いておきますが、背表紙に当たる部分の上下はそのままの厚みをキープします。常に折り曲がった状態になるので負荷がかかるため。)

私は革漉き機を持っていないので、恩師の物を使わせてもらっています。

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3)ポケット作り

ポケット用の革の裏側(スウェード側)計4枚に糊を伸ばします。ポケットは全体に満遍なく、偏りができないように薄く伸ばして、完全に乾かします。

糊が完全に乾いたら、革のスウェード側を張り合わせます。 貼り合わせる時は、ヨレができないように間にケント紙を挟んでそれを少しずつずらしながら平らになるように張り合わせていきます。

 (9/3/2018 追記: 革のを貼り合わせる時は、3辺を漉いた方が裏側(見えない側)になります。漉いた方が裏側。これは、ほぼどんな時にも当てはまるので覚えて置くといいですね。)

革を張り合わせたら、革(2枚になっているはず)を型のサイズに合わせて、切り揃えます。

 

次はPricking Iron(目打ち)で穴あけです。

小物の穴あけには、私は10号の12本(VERGEZ BLANCHARDーフランス製)を使っています。穴あけの前にはSewing Compassでラインを引き、ラインの線にそって目打ちを合わせハンマー(非金属)で垂直に叩きます。この角度がずれてしまうと、縫い目が不揃いになってしまうので、ここは丁寧に作業をしましょう!

 

その後、ポケットの3辺を更に漉きます。

本体とポケットを縫い合わせる部分について、更に厚みを減らしておきます。その後、ポケットの開き口(本体に縫い付けない辺)を縫って端の仕上げを行います。

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4)本体作り

本体はまず外側4辺に目打ちで穴あけをします。

その後、本体外側の周辺3-5mm程度、内側を5−8mm程度に糊付けし、完全に乾かします。本体の周辺だけに糊付けするのは、そうすることによって本体が柔らかく仕上がるからです。カチッとした仕上がりにしたければ全体に糊付けしてもまったく問題ありません。

 

その後、型紙に合わせ外側、内側両方の中心点に鉛筆(B6)で印をつけ、背表紙部分の上下の印に合わせて革を重ね合わせます。指を使って少しずつ本体の周囲を張り合わせていきます。少しずつ、本体が自然な立体感を持った形に仕上がるようにするのがポイントです。

 

次に、本体の周辺を型に合わせて再裁断します。本体の外側は既に型のサイズに切られているので、よく研いだナイフでそれに合わせて切っていきます。

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その後、ポケットを取り付ける部分の厚みを漉いておきます。

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5)パーツの組み立て

ポケットを本体に縫い合わせるます。

ポケットと本体の漉いた部分に糊つけをして乾かします。乾かした後は、本体とポケットの端がまっすぐになるように、慎重に重ね合わせハンマー(金属)で軽く叩いておきます。この時、ハンマーを弾ませないようにするのがポイントです。また、強く叩きすぎると革を痛めてしまうので、やさしく、でもしっかりと叩く感じです。

 

その後、本体の周辺を縫います。糸の長さは縫う(距離+針の長さ)X4を基準にすると、余裕を持って仕上げられます。あまり長い糸で作業をすると、絡まったり、ほつれたりする可能性が出てくるので、2辺ずつ2回に分けて縫うのがおすすめです。

 

6)仕上げ

縫い終わった段階で、十分にノートブックカバーに見えますし、十分に機能も果たします。が、ここからもう一歩仕上げをしていきます。この仕上げを丁寧にすると、作品の見栄えがずっとよくなります。(が、仕上げについて長くなるので、また後日、書く予定です)。

(*1インチは約2.54cmです)